認知症とショートステイ
認知症の方のご家族から
「ショートステイ を使ってみたい」 というご希望が時々ある。
テレビで見た とか 友達に勧められた とか。
友達は休まなきゃ倒れちゃうよ! と言う感じでアドバイスしてくれているのだと思う。
しかし、特に認知症の方には 使えない場合 がある。
認知症になっても、全てがわからなくなっているのではない。
中度くらいまでは、自分が 今 どこで 何をしているのか を 必死で考えている。
記憶の断片 を必死につなぎ合わせ ストーリーを作っている。
人は、今自分が何をしているのか? ここにいていいのか? は記憶があるからわかるのだ。
認知症の方の混乱期 ご本人もご家族も大変な時期なので、休みたくなる気持ちは本当によくわかる。1日でも居ないでいてくれたら、どれだけ休まるか?と思う。
でも、想像してみて欲しい。
「明日には迎えに来るから」 という言葉を記憶出来ない人にとって、
知らない場所に連れてこられ、知らない人に世話をされ、何でここにいるのかもわからない。
それは激しく強い恐怖の時間でしかない。
結果、よくあるのが、ショートステイには居ることが出来ず、職員からご家族に連絡が行き迎えに来てもらうパターン。(ショートステイの職員配置は、激しい混乱と恐怖に対応出来る人数にはなっていない。 ショートステイの職員にはどうすることも出来ない。)
結局、激しい恐怖と怒りの感情を持った、より激しい混乱をきたしてしまったご本人と、準備や調整の結果ホッとする暇もなかったご家族の疲労しか残らない。
それだけで済めばよいが、激しい不安と怒りから、自宅から出ることを強く拒否することになり、今まで出来ていた通所ですら出来なくなってしまう事すらある。
だから、ショートステイが無理な方に対して、ケアマネが今の状態では利用は厳しい、とお伝えするのは、怠慢でも意地悪でもなんでもなく、まさに先を見越したアドバイス なのである。
けれでも、ケアマネの実力も実に様々で、セオリー通りに、お疲れでしたらショートステイを、なんて勧めてしまうケアマネだっていないことはない。
結果が讃嘆たるものであっても、自分で疲れているといってお願いしたのだと、ご家族は自分を責めるだけなことが大半。
疲れたら無理せずショートステイを使いましょうね って文言があふれているけれど、
使える方と 使える時期ではない方 がいることをわかって欲しいなと思う。
介護は1人1人 千差万別。
1人として同じ方はいない。
知識と論理と経験 それに 現在の状況 を掛け合わせて
仮説をたて実行する。
それが認知症の介護
めっちゃクリエイティブな仕事なのだ。
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