動的平衡 変異するウイルスと向き合う
もう何年も前にもなるけれど、生物学者 福岡伸一さんの「動的平衡」を読んだ時、
結構衝撃を受けたのを覚えている。
それから彼の記事とか文章は興味深く読んでいる。
彼がこのコロナ禍をどう見ているのか、生物学者の視点
多種多様な視点ってすごく大切だと思う。
この記事ではウイルスの変異の仕組みを解りやすく解説してくれている。
変異株は抗体を跳ね返すような変異だったり、細胞に接着する力が強まる変異だったりする。
まるでウイルスにとって合目的的だけれども、
変異は複製を繰り返すときに無作為に起こる書き間違い。
ウイルスに意図はない。
でも なぜ人間にとって不都合な変異が起こっているのか?
それを彼は
「人間の側がそれを選びとっているから」と言う。
そして こう説明する。
あらゆるタイプの変異体が日々世界中で出現しているけれど、
ワクチンが網をかけるので、それをすり抜けるような変異体が選抜されたり、
人間により素早く取りついて複製できる変異体が拡散できるようチャンスを得ている
つまり、ワクチンは自然淘汰の促進剤
生き残るウイルスは、ワクチンの編み目を潜れた精鋭たちということになる。
対して人間は改良型ワクチンを製造してそれに対抗するけれど、
抗生物質と耐性菌 みたいないたちごっこになりかねない。
これが
自然という動的平衡の理 と彼はいう。
でも希望がないわけではない と続ける
それは私たちの生命も自然で、身体に備わった免疫系は最高最良のワクチンであり、
ウイルスを多面的に制御してせめぎ合いのバランスを探ろうとする。
これがウイルスとの共生
人類が過去 何度も病原体との間で繰り返してきた動的平衡の物語。
問題は。。。
物語は、落ち着くまでいつも長い時間を要すること
と締めくくっている。
最高最良のワクチンは、私たちの免疫系である
人間はこれを忘れている気がする。
免疫系は常に動き自身のために働いている。
50年前 日本人の平均寿命は
男性 69歳
女性 74歳
2020年の日本人平均寿命は
男性81歳
女性87歳
今の日本は人類未到の長寿社会である。
免疫系が弱ってきたシニア世代は、ワクチンという助けを借りることはとても有効だと思う。
ただこれからを生きる世代はどうだろうか?
今 に対する視点と
人類の長い物語に対する視点
この2つを持たないといけないように思う。
私たちも 自然の生命
その点は、他の種となんら変わりはないのだから。
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